曖昧なアポ
某飲み屋街。
コロナなんて、もう誰も気にしちゃいないかのような賑わい。
どこもかしこもぎゅうぎゅうに混んでいる。
「ねぇねぇ、ナンパしたことある?」
「うん。あるよ。」
今日は前回アプリで会った子と2回目のデート。
途中で自分の会話に意図がないことに気付く。
いかんいかん、ゴールどうしよう。
気は合うんだが、誘うべきか誘わぬべきか。
ビビってんのか俺は、そもそもその気がないのか。
何かを怖れていることは確か。
3件をサクサクとはしごし、帰るべきか帰らぬべきか。
22時。
「もう1件行こう!」
カラオケin
何故か大部屋。
普通に歌う。
とりあえず家に行くことは決めた。ダメだったらネカフェに泊まろう。
そんなことをカラオケのトイレで決意する。
終電逃す。
2人でコーヒーを飲みながら煙草をふかす。
「どうする?」
「帰ろう。」
「帰れないでしょ。」
「帰ろうよ。」
「私の家ってことね。」
タクシーに乗っている間、どうするかずっと考える。
家に到着。
人の家はなぜかぐっすり寝れることが多いので大好き。
ワンちゃんをあやしながら、女の子がシャワーから上がってくるのを待つ。
最初は尻尾を振っていたワンちゃんも、飽きられたのか、俺の雰囲気が変わってしまったのか尻尾を下げてどこかに隠れてしまった。
「全然仲良くできてないじゃん。」
濡れた髪を乾かしながら女の子が出てくる。
交代で浴室へ。
「どうする?俺?」
まだ決まってない。
サインは出ていると思う。
いくか、いかぬか。
その後のいいイメージが浮かばない。
スマートに誘う術を持っていない。
失敗を恐れていることも確か。
「今日はやめておこう。」
朝、手作りの朝食を頂きながら、某芸能人カップル同士の対談を見る。
どちらの夫婦も信頼関係で結ばれていて幸せそうな感じ。
羨ましくなった。
ごちそうさまをして、家を出るとき、犬に吠えられる。
曖昧な意図。
曖昧な結果。
曖昧な関係。
曖昧な人生。
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