顔写真のないプロフィール②
先日会った彼女から都内に用事があるので、
「午後から会えない?」と逆打診があった。
数日ぶりの再会。
少し恥ずかしそうに現れる彼女。
手をつなぐかつながないか迷う。
微妙な距離感。
ひとまずランチへ。
コロナの感染者数の話とか、とりとめのない会話。
ランチを出た後に手をつなぐ。
安心とドキドキ。
屋内のベンチに座って一休み。
「パフェ食べたい。」
そう言ってくるっと左を向き、俺の腕に背中を向けて寄りかかってくる彼女。
左腕に寄りかかられながら、俺は右手にスマホを持ちパフェ屋さんを検索する。
「ここにしよっか?」
「うん。」
彼女の目はトロンとしていた。
14Fにあるパフェ屋さん、エレベーターでいこうと提案すると、エスカレーターで行きたいという。
途中の階に寄り道することなく、自動螺旋階段の様に上へ上へと登っていく。
途中エスカレーターに2人だけになったとき、
マスク越しにキスをした。
踊り場で途切れ、エスカレーターに乗り、人がいないことを確認してはキスをした。
2重の綿でぼやかされる唇の感触。
唇の感触を確かめようと動いているのがわかる。
14Fに到着し、何事もなかったかのように順番を待つ椅子に座った。
順番を待っている間、彼女はトイレに行くと言い、その間に席に案内された俺は「さぁどーしようか」とこの後の展開を考えた。
彼女は化粧をしっかり治し戻ってきた。
おいしそうにパフェを食べる彼女。
18時には帰りの電車に乗らないといけないとのこと。
あまり時間がない。
店を出て、「キスしたい。」と告げ、カラオケ屋に入った。
「何か歌う?」
「歌わないよ。」
彼女は歌いたいと言い2曲ほど歌った。
3曲目を入れさせず、彼女を膝の上に乗せマスクを外した。
首筋にキスをし、唇を狙う。
しかし、うまくかわされキスすることが出来ない。
次第に重くなる空気。
「どうした?」
「遊びなら遊びって言って」
「いつもこんなことしてるの?」
(これって、グダじゃね?)
男女関係において今まで自分から攻めることがなかった俺が初めて遭遇するグダ。
正直嬉しかった。グダに対する新鮮さを感じた。
しかし、どう返していいかわからなかった。
遊びといったほうがいいのか、真剣だよといたほうがいいのか、そもそもまともに返答するべきではないのか。
今日一で頭がフル回転しているのがわかる。
「私のこと何にも知らないでしょ。」
そう俺は、彼女の仕事も、住んでいるところも、名前も下しか知らない。
知っているのは手の感触と、マスク越しの唇の感触。
「じゃあ色々聞くよ。仕事何してるの?」
彼女から明かされる、過去から現在。
俺は平然を装いながら話を聞いていたが、膝に乗る彼女から繰り出される言葉は、マウントして繰り出されるパンチの様に俺の心を殴っていた。
一通り話し終わった彼女は、朦朧とする俺の首筋にキスをした。
●良かった点
・カラオケ打診したこと
・自分なりに攻めた事
・恋愛を優先順位の1位にすることはないとしっかりと伝え、自分のスタンスを崩さなかったこと。
●改善点
・深刻な場面での解放力、転じる力
・「遊びなの?」発言にちょっとひよった。
・彼女の抱えている問題を全部吹っ飛ばすような明るさが欲しいと思った。
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