去年の夏以来の声掛け。
雲一つない青空。
晴れ男Sさんと、久しぶりの合流。
そして、久しぶりのナンパ活動。
またあの楽しい日々に戻れますように。
そんな期待を胸に街へ繰り出す。
やっぱり一人で街に来るのと全然違う。
ガンガン行ける気がしてくる。
でも、やっぱり行けずに地蔵。
Sさんはブランクを感じさせず声掛け開始。
不思議なもので1人で街に繰り出しているときは殆ど見かけなかったのに、Sさんが声掛けを始めてからチラホラと他のナンパ師が現れ始める。
Sさんの声掛けをきっかけに、久しぶりにナンパの世界に入り込んだかのような感覚。
ビビットくる子を探すが、やっぱり地蔵でテクテク歩く歩数だけが増えていく。
もーだめだ、指差ししてもらおうとSさんに依頼。
Sさん「じゃあの子行ってみましょう!」
年下の俺にいつも丁寧な言葉で話してくれるSさん。
その指の先には、黒髪ロング、細身で色白の女の子がゆったりと歩いていた。
いざ!
スタスタスタ…
「こんばんゎ…。」
自分から出る声がイメージと違いビックリする。
曲がりくねって、どこに飛ばしたかわからない、行先のわからない声。
綺麗にガンしか。
そもそも届いていなかったかもしれない。
拒絶されたくないという気持ちからで出る気持ち悪いハニカミ笑いで自分を防御しつつ、どこに向けて放たれたのかわからない声を、拾ってくれと言わんばかりにポロポロこぼし続ける俺。
一応粘っているつもり。
ゆったりと歩く黒髪ロングの女の子はこちらを振り向くそぶりを全く見せない。
紫に装飾された長い爪が小刻みにスマホの上でピクピクと動き続けていた。
2020年初打席。
まーこんなもんか。
去年の夏以来の声掛け。
声を掛けたことで、身体がふわっと軽くなり失敗を恐れる心から少し自由になれた気がした。
同時に、ナンパを中断していたことで人生のノリがいつの間にか暗く深刻になっていたことに気が付く。
久しぶりじゃねーかよ。 この感覚だよ、この感覚。
テンションも上がり、快活になってくる。
男磨きやったろという気持ちが湧いてくる。
久しぶりに、ナンパホルモンが出始めた。
やっと再開だわ。
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